自然からいただいた色で手作りのクレヨン

今から20年ほど前に出会った化学物質アレルギーの少年の「僕、絵を描いたことがないんだ」の言葉から伊藤さんのクレヨン作りが始まりました。「草木染め の技術を応用して自然のもので安全なクレヨンを作りたい。目標は大きかったですが、なかなか思うようにはいきませんでした」と当時を振り返ります。仕事も 家事もこなしながら、自分の時間にこつこつとクレヨンに向き合うこと10年。標茶町に自生する野の草木、木の実などから色を抽出、網走産の蜜蝋、せたな町 産の羊脂などを主成分として、試行錯誤の末、2011年に第一号のクレヨンが完成しました。「自然から色をいただく…自然への感謝の気持ちと子供たちに笑顔というプレゼントを届けられるよう、アイヌ語で“ものを運ぶ動物”の意味があるTuna- Kaiという言葉を工房の名前にしました」とやさしい母親の顔になる伊藤さん。トレードマークは、息子さんが4歳のクリスマスに描いてくれたトナカイの絵 です。6年前に標茶町虹別の旧青年会館を自治体から借り受け、工房としました。現在はご主人もクレヨン作りに参加。色をいただく植物などの採集、顔料づくり、ク レヨン形成、包装・出荷などは、どの行程もていねいに手作業です。さらに工房ショップの営業、時にはイベント参加など、二人三脚で忙しい毎日。そんな「トナカイ」のクレヨンは、市販のそれとは違い、色によって、また作った季節によって描き心地が違います。描いたものを水に濡らした指でこすると水 彩画のように優しいにじみが楽しめたりもします。その特性を活かし、この夏、絵の具の開発に成功しました。「クレヨンというと子供のイメージですが、絵の 具ならもっと幅広い年代の方に使っていただけるのではないかと思います。工場長(ご主人)の努力が実って製品化できそうです(笑)」なんともまろやかで心 地好くて、思っていたよりずっと多くの色彩を感じさせてくれて…自然の豊かな色をクレヨンで感じてみませんか。晩秋の頃まで工房ショップも営業、伊藤さん 夫妻とクレヨンたちが迎えてくれます。

手作り クレヨン工房 Tuna-Kai(トナカイ)
〒088-2464 上川郡標茶町虹別原野704-3
(旧中虹別青年会館)
TEL 090-4736-4789090-4736-4789 工房ショップ/10月31日まで (翌年GWまで休業)
営/10:00〜16:00 休/火曜、水曜(不定休あり)
HP http://www.tuna-kai.com/