マリモ発見から約110年。謎が解き明かされて…。

 国の特別天然記念物に指定されている阿寒湖のマリモ。約110年前に発見されてから、さまざまな研究者が阿寒湖を訪れながらも、「なぜ丸くなるのか? 岩石に着くマリモや綿くず状の藻が湖底に堆積するマリモとはどう違うのか?」など、マリモの生態の謎は残ったままでした。しかし、現在では少しずつマリモの生態が分かってきています。「阿寒湖畔エコミュージアムセンター」内には、釧路市教育委員会の「マリモ研究室」があり、ここで学芸員であり理学博士の若菜勇さんらが1991年から阿寒湖のマリモについて研究・調査を行っています。そして17年に及ぶ研究により、ここ数年でマリモという多様性生物の実態が解き明かされてきたのです。
 「阿寒湖のマリモと同じ種類の生物は世界中に分布していますが、丸くなり、群れて巨大化するものは阿寒湖だけ。阿寒湖のマリモは世界的に貴重なのです」と若菜さんは言います。豊かな森と火山に抱かれた環境、そして阿寒湖の独特の形状。これらの偶然性によって生まれたマリモを、保全・再生してゆくことが同研究室の次の目標です。透明度の高い清らかな湖水で育つマリモは、まさに環境を映す生物。阿寒観光汽船で行くチュウルイ島の「マリモ展示観察センター」や「阿寒湖畔エコミュージアムセンター」の展示フロアで水槽中のマリモを見ることができますので、マリモの姿から阿寒湖の貴重さを感じてください。

若菜 勇さん

釧路市教育委員会 阿寒生涯学習課 学芸担当専門員

若菜 勇さん

阿寒湖畔
エコミュージアムセンター

阿寒湖温泉1-1-1

「阿寒湖畔エコミュージアムセンター」の展示フロアにあるマリモの水槽。

「阿寒湖畔エコミュージアムセンター」には、研究によって判明した新たなマリモの生態が掲示説明されています。